日本税理士会連合会から「やさしい税金教室」、「こんなときこんな税金~私の税金ナビ」、「What’s税理士」という3つのPDF冊子が公表されました。工夫してわかりやすく書かれていますが、そもそもの税制自体が複雑なので、どんなにわかりやすくしようとしても難しくなってしまうものだなと感じています。
日本税理士会連合会「やさしい税金教室」ほか2つの冊子を公表
「やさしい税金教室」は、税金に関するあらゆることをQ&A形式でまとめたものです。
「こんなときこんな税金~私の税金ナビ」は、日常生活で何かイベントがあったときに、どういう税金がかかってくるかをまとめたものです。
「What’s税理士」は、税理士とはどういう仕事なのかを紹介した資料です。
なんでわざわざ3つに分かれてるのかよくわかりませんが、一般の人に税金のことについて身近に知ってもらいたいという広報活動なのかもしれません。
ただ、これらの資料を見て「わかりやすいか」というと何とも・・・
資料が「ダメ」というわけではなく、そもそもの税制が複雑なので、どうわかりやすく説明しようとしてもわかりにくいと感じます。
そもそもの税制が複雑だから、「やさしく」ない
例えば、↓のような所得税の計算を図解したものについて、図解でわかりやすくまとまってはいますが、図解しても、しっかり読み込まないとイマイチわかりにくいです。
「損益通算」とか、その注意書きがあったりとか、「ひとくちメモ」なのに2つもメモがあったり、情報を網羅しようとして例外的な情報もいろいろ載ってます。
図解の仕方が悪いというより、税法がそれだけ例外がたくさんあるから、図解しても複雑にならざるを得ないんですね。
「税金のことは税理士に任せる」ではいけない
例えば所得税にしても、おそらく最初から複雑だったわけではなく、後から例外規程や優遇措置が追加されたり除外されたりしていくうちに、ツギハギで複雑になっていったのでしょう。
復興所得税は、東日本大震災を受けて創設された税金です。
定額減税は最近の物価上昇を受けて創設されたのは記憶に新しいでしょう。
ツギハギで複雑なものは、往々にしてどこかに「制度の穴」、「制度上の歪み」があります。
頭の良い人はその「歪み」を利用して法律のギリギリを突いて節税を試みます。
そういう「知恵」があるかないかで、税金で得する人・損する人が分かれます。
高度な知識社会になった国では、お金は知識のない人からある人の方へ流れていきます。
これはもう現実として仕方ない部分はありますが、「それでいいのか?」という思いもあります。
税金は全ての国民が何らかの形で負担しています。子どもであっても、買い物をすれば消費税を払っています。
税金は全ての国民が関与するものであるので、頭の良い人ではない「ごく普通の人」でもわかるような税制であるべきだとは思います。
みんなにとって重要な税金なのに、その税金のことが、難しい試験に合格した税理士しかわからないというのも変な話です。
まあそんなこと言っても仕方ないですし、今さら税制が大きくシンプルになることはおそらくないでしょう。
少なくとも私は「税理士がいなくても、社長や個人事業主が自分で経理・税金の計算ができる人が増えること」を目指しています。
自社でどれぐらいの利益が出て、どれぐらいの税金がかかりそうなのかがわかれば、資金繰りの精度も上がります。
そのためのメニューとして、代行だけでなく「レクチャー」をするサービスを通して、自分で経理・税金の計算ができる人が増えて欲しいと思っています。
(このブログも、そのサービスの一つです)
単発税務相談
セミナー
今の税制は決して「やさしく」はないですけど、ビジネスをするうえでは避けては通れないものです。
税理士に丸投げではなく、自分で税金を計算してみることも、おすすめです。
▪️編集後記
昨日は税理士業。打ち合わせ2件。
私の誕生日だったので、妻と外食ランチ。