税理士業務にも保険があります。税理士が行った税金の計算が間違っていてお客様が損をして損害賠償となった場合に、保険金で支払われるものです。私も一応入っています。
税理士職業賠償責任保険
「税理士職業賠償責任保険」という保険があります。税理士がお客様の代理で税金を計算したが、その計算が間違っていて追加で税金を払うこととなり、その税理士に損害賠償が発生した場合、この保険に入っていると保険金で損害賠償金が払われることがあります。
大企業になると、税金の金額も数億円になることもあります。損害賠償が数億円となってしまった場合、その税理士だけで払うことが難しいこともあるでしょう。
「無い袖は振れない」となってしまうと、会社側も損することになります。
そういうリスクを防止するために、税理士職業賠償責任保険があります。
ちなみに、公認会計士にも同じような賠償保険があります。
監査をしている会社が不正をしていたのに、そのことを監査をしている公認会計士が見抜けなくて株主から損害賠償の訴えを起こされた場合、保険金で支払われることがあります。
どんなときに保険金が支払われるのか
実際にどういう事例で保険金が払われているのかは、ホームページで公開されています。
消費税がダントツで多く、法人税・所得税が続いています。
具体的な事例を見ると、
- 簡易課税の方が消費税が安いのに、簡易課税の届け出を提出していなかった
- 原則課税だと還付が受けられたのに、簡易課税を不適用にする届け出を提出していなかった
- 役員賞与を払うことを事前に税務署に届け出ていなかった
といったような届出書の提出漏れによるものが多いようです。
税理士が途中で変更になったりして引き継ぎが満足に行われないと、こういったことは起こり得ます。
2022年度は保険金が支払われた件数は495件あります。支払われた保険金は18億300百万円のようです。1件あたり400万円弱です。
495件となると、割と多い件数ではないかと思います。1日1件以上は発生していることになりますし。
対岸の火事とはいえないかなと。
保険があっても責任は変わらない
当然のことではありますけど、保険があるからといってその税理士の責任が変わるわけではありません。
保険が下りないケースもあります。
この保険は「税理士業務」が対象です。お客様の代理で税金の計算をして申告をする業務、税務相談を税理士として行う場合に適用されるものです。
例えば株価算定といった業務は「税理士業務」ではないので、保険の対象にはなりません。
また、会社としても、顧問税理士が保険に入ってるからといって、損害賠償請求をしても、そもそもその請求が認められなければ訴訟費用だけかかって賠償金は入ってきません。
保険があるからといって税理士の業務範囲や責任が変わるわけではありませんが、そういう保険もあるということはちょっと知っておいていただければと思います。
▪️編集後記
昨日は会計士業。その後、産婦人科へ。娘はちょっと小さめで産まれたのですが(2614g)、ミルクは標準の子と同じ量を飲んでいます。よく頑張ってます。
西大寺のカフェでブログを書き、百貨店のフードコートで夕食。