消費税の申告書はソフトでやるか?手書き(&Excel)でやるか?

手書きでやるか?

消費税の申告書は、法人税に比べると書類の数が少ないので、会社の規模や事業の内容によってはExcel&手書きで作成することもできます。メリット・デメリットを整理します。

目次

申告書は手書きでも作れる

会計・税務作業の多くはパソコンで作業するのが今では主流だと思います。
昔は手書きだったかもしれませんが、私がこの業界に入ったときにはパソコンが主流でした。日々の経理作業も法人税の申告も会計・税務ソフトを使っていました。

しかし、消費税については、手書きで申告書を作成していました。
もちろんソフトを使ったほうが速いし集計ミスも少ないのですが、消費税の申告は少しクセがあり、手書きでやることもありました(今はやっていませんが)。

消費税の申告をソフトを使ってやろうとすると、日々の経理のときから、その取引に「消費税が含まれているか、いないか」を区別する必要があります(簡易課税という簡便的な方法だったら区別しなくてもいいですが)。
税金の支払いや給料の支払いには消費税は含まれていませんし、同じ飲食に使った費用でも、テイクアウトだったら8%、店内飲食だったら10%と税率が変わります。インボイス制度が始まってからは、請求書にインボイス番号が入ってるか入ってないかで税率が変わります。

会計ソフトの「税区分」の設定のページを見ると、100種類以上、消費税の税率があります。めまいがします。

Screenshot

厳密に処理しようとすると、毎日の取引で、この100種類以上ある税率のどれにすべきなのかを取引ごとに判断する必要があります。

会社によっては、デフォルトで設定されている税率で仕訳を入れていることがあるので、決算のときに税理士がチェックし、必要に応じて修正したりします。
そのときに、会計ソフトを直接修正するのではなく、別途Excelで修正し、そのExcelをもとに消費税を集計し、申告書は手書きで書くことがあります。

私は昔、そのような方法で消費税の申告書を作成していました。当時はまだ消費税が5%で、インボイス制度も軽減税率もなく比較的シンプルだったので、Excelでも何とか対応できました。
申告書も2枚しかなかったので、手書きの方が速かったりします。
お客様の会社に訪問し、紙の請求書とか領収書を1枚1枚チェックして、消費税があるかないかを1年分チェックしていたのは、今となっては良い思い出です。

手書き or ソフト?

手書きのメリット(というか手書きにせざるを得ない理由)は、上記のように日々の経理で消費税の税率の判定をしていないときに、急造でもある程度申告ができることです。会計ソフトの税率をイチから直していくのも大変なので、とりあえずExcelで集計して、その計算結果を手書きで申告書に転記したりします。

あと、コストも浮きます。税務ソフトも高いですし、税理士に依頼するともっと高くつきます。
簡単ではありませんが、コストを考えると、Excelで集計し、手書きで申告書を作ることも選択肢になりえます。

一方、税務ソフトを使うと、日々の経理で消費税率の判定をしていれば、すぐに申告書が作成できます。
システムなので、計算間違いのリスクも少ないです。
ただ、それなりにコストはかかりますし、毎回の経理で消費税が10%なのか8%なのか、経過措置の80%なのかを確認する必要があり、それなりに手間はかかります。

手書きにもソフトにもメリット・デメリットがありますが、私は今は手書きはしていません。
自分のメモとか考えを整理するのに手書きをするのは好きですが、仕事の作業はできるだけデータ化したいからです。

ただ、消費税は上記でも書いたようにかなりクセがあるので、場合によっては手書きにせざるを得ないということもあります。

税率の判断も大事だが・・・

支払った経費が10%なのか8%なのか非課税なのか、経過措置の80%控除なのかといった判断も迷うところですが、消費税はそういった税率の判断よりも、届出書類の漏れがないかという点も、リスクが高いところです。

  • 納税義務があるのに申告をしていなかった
  • 輸出が多くて申告をした方が有利なのに、届け出をしていなくて還付を受けられなかった
  • 簡易課税の届け出を出していなくて、原則課税で申告しなければならなくなった
  • 設備投資があり、原則課税の方が有利なのに簡易課税取り消しの届け出を出していなかった

こういった届出書類の漏れが出ると、ダイレクトに資金繰りに影響します。場合によっては数百万円の支出を余儀なくされることもあります。

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税務署に必要な届け出がないかを税理士と相談しながら確認し、申告のときにソフトでスムーズにできるように、日々の経理をコツコツ進める必要があります。



▪️編集後記
昨日はセルフマガジンの作成。ようやく原稿が完成し、試し刷りの入稿をしました。今月には完成見込みです。

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