キャッシュ・フロー計算書は不要。資金繰り表は必要。

決算書の一つに、キャッシュ・フロー計算書がありますが、作りづらいしわかりづらいし、上場企業でなければ作成は不要です。でも、お金の流れや資金繰りをおろそかにしていいということではなく、資金繰り表は必要です。キャッシュ・フロー計算書と資金繰り表は似て非なるものです。

目次

「財務3表」に含まれるキャッシュ・フロー計算書

キャッシュ・フロー計算書は、「財務3表」の一つに数えられます。貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)と並び、キャッシュ・フロー計算書(CF)も決算書の一つであり、上場企業であれば公開が義務付けられています。

しかし、キャッシュ・フロー計算書は、作るのが難しいです。

例えば、トヨタのキャッシュ・フロー計算書は以下のようになっています。

キャッシュ・フロー計算書は、営業活動・投資活動・財務活動の3つに区分します。
営業活動は、売上収入や経費の支払いによる資金の動きを表したものです(赤枠)。
投資活動は、設備の購入や株式投資による資金の動きを表したものです(緑枠)。
財務活動は、借入や出資による資金の動きを表したものです(青枠)。

上記のトヨタのキャッシュ・フロー計算書を見ると、投資活動(緑枠)と財務活動(青枠)はまだイメージがしやすいと思います。固定資産の購入で資金がマイナスになったり、有利子負債(借入金)の増加で資金が増えていたり、一般的な感覚とも近いです。

問題は、営業活動(赤枠)です。一番上に当期純利益があり、もうちょっと下にいくと、「営業債権の増減」とか「棚卸資産の増減」でキャッシュ・フローがプラスになったりマイナスになったりしています。

普通に考えたら、営業活動のキャッシュ・フローは、売上による収入とか、人件費の支払いとかが項目に出てきても良いはずですが、そういう項目は出てきません。
これは「間接法」といわれる作成方法で、一見するとややこしいのですが、実際にキャッシュ・フロー計算書を作成するとなると、「間接法」が実務では作りやすいのです。

売上による収入や人件費の支払いを一つずつ集計する「直接法」は、直感的にはわかりやすいですが、実務で作ろうとするとかなり難易度が高いです。かなりビジネスがシンプルだったり、高度なシステムを入れておく必要があるでしょう。ほとんどの上場企業は「間接法」でキャッシュ・フロー計算書を作成しています。

上場企業でなければ、キャッシュ・フロー計算書は不要

上場企業であれば、キャッシュ・フロー計算書は開示が義務付けられていますし、監査も受ける必要があるので、作成負担の少ない間接法で作成するものです。

ですが、上場していないような会社であれば、上場企業が作るようなキャッシュ・フロー計算書は必要ありません。
間接法は比較的作成の負担が少ないとはいえ楽ではありませんし、作っても直感的にはわかりにくいものになります。

「財務3表」の一つにはなっていますが、上場企業が作るようなキャッシュ・フロー計算書は、フリーランスはもちろん、小規模な企業では不要です。

資金繰り表は必要

キャッシュ・フロー計算書という形での資料は作成不要ですが、資金の流れや資金繰りを把握することは不要ではありません。むしろ、経理において最も重要なものです。

キャッシュ・フロー計算書は不要でも、資金繰り表は必須になります。

キャッシュ・フロー計算書では「営業活動」、「投資活動」、「財務活動」の3つの区分で資金の流れを集計しますが、この考えは資金繰り表の作成においても重要です。
ただ、両者は似て非なるものですが、目的が違います。
キャッシュ・フロー計算書のように、社外に開示・報告することを目的としたものである一方、資金繰り表はどちらかといえば社内管理が目的です(銀行などに提出することはありますが)。

キャッシュ・フロー計算書のように書式が決まっているわけではないので、比較的自由な形で作成することができます。
また、キャッシュ・フロー計算書は過去の情報ですが、資金繰り表では将来見込みの資金の動きも表します。

会社に今どれだけの資金があって、それが将来どれだけ増減するのか、融資は検討すべきかどうかといった意思決定の判断材料として、資金繰り表はぜひ作成をおすすめします。

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▪️編集後記
昨日は歯医者で治療。治療が大詰めになってきましたが、いつも痛いのがつらい、、、
その後、自宅でホームページの作成など。

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