税理士と会計士は似て非なるものですが、近い部分もあります。野球とソフトボールが違う競技だけど似ているのと近いです。
似てるけど違う「税理士と会計士」
私は高校のとき、ソフトボール部でした。
野球とソフトボールは似てますけど、違うところもけっこうあります。
ピッチャーが上投げか下投げかという違いもありますが、他にも、
- ソフトボールだと、スタメンの選手は代打などで交代してベンチに下がっても、一度だけ再登録して試合に出れる。(リエントリー)
- 野球には、投手は打撃をせず、その代わりに打撃を専門にする「DH」があるが、ソフトボールには投手の代わりに限らず、どこのポジションの代わりでも打席に立てる「DP」がある(キャッチャーだけやって打席には立たないなど)。
- ソフトボールはボールも大きく重く、グラウンドが狭いので、ライトゴロが普通にある。
- ソフトボールのランナーはリードができず、ピッチャーの手からボールが離れるまではベースに足が着いてないといけない。
税理士と会計士も、これと似ています。
どちらも会計・経理分野の専門家ですし、資格を得るにはそれなりに勉強が必要ですが、違う部分もあります。
- 税理士は文字通り税の専門家。節税や税務調査などに詳しい人が多い
- 会計士は「監査」「保証」の専門家。一歩引いた目で、決算が正しいかをチェックする
- 税理士はフリーランスからグローバル企業・非営利の法人でも関与することがあるが、会計士は主に上場企業がフィールド
仕事で出くわす可能性が高いのは税理士でしょう。
確定申告が必要な場合には、フリーランスや中小企業でも税理士に依頼することはありますが、会計士は上場企業向けに仕事をしていることが多いので、一般的に出くわすことはほぼないでしょう。
会計士だからといって、税理士ができるとは限らない(逆も同じ)
プロ野球の選手がソフトボールのピッチャーと対戦して打てない場面をよく見ますが、野球ができるからといってソフトボールもうまくできるとは限りません。逆も然りです。
税理士と会計士でも、同じことがいえます。
会計士を長年やっているからといって、税理士の仕事ができるようになるわけではありません。
会計士試験の受験科目に「税法」はあります。しかし、会計士試験の「税法」の難易度は税理士試験に比べれば遥かに簡単といわれます。
実務でも、会計士は監査の中で法人税や消費税の確定申告書を見ることはありますが、実際に申告書を作ることはありません。
会計士は税理士の試験を受けなくても税理士登録ができますが、勉強は必要になります。
実務を通して訓練していかないと、身につけるのは難しいものです。
逆に、会計士がやっている監査が、税理士だからといってできるとは限りません。
売上が何兆円とあるような会社の帳簿を全部ひっくり返して、重箱の隅をつつくのは監査ではありません。
ミスがありそうなところ、ごまかしてきそうなところなど、リスクが高いところとそうでないところを見極めて、どこまで証拠を集めるかを統計的な手法を使って推定し、合理的に「大きな問題がない」といえるレベルまで検証し、それを限られた時間で有効に実施するのが監査です。
これも実務を通して訓練していかないと、身につかないものです。
資格だけ見ても、中身はわからない
もちろん上記の例にあてはまらずに活躍している人もたくさんいます。
会計士であっても、税務に詳しく実務経験の豊富な人はいますし、税理士であっても監査やデューデリが得意な人もいます。
士業は、属人性がかなり高い職業です。
ファストフードだと、東京の「マック」と大阪の「マクド」は、味は全く変わりません。属人性は限りなくゼロです。でも、税理士や会計士は、同じ地域の近所に事務所を構えてたとしても、専門分野は全く違うことがありますし、専門分野は同じでも、仕事の進め方はぜんぜん違うことがあります。
同じ税理士という資格を持っていても、満足する結果を出してくれるかは、実際に会って仕事をしてみないとわからないことが多いです。
どんな税理士が「良い税理士」なのかは判断が難しいところですが、ホームページのブログやSNSなどで発信をしている税理士も増えているので、その発信を見て、「自分に合ってそう」という人を探してみるのがいいかと思います。
▪️編集後記
昨日は税理士業。その後、6人席で完全予約制のカフェ「LABO103」のかき氷を食べに行きました。
夜はセミナー&交流会に参加。参加者のすごいパワーに圧倒されました。