赤字の年がある場合、そのときに生じた欠損金を翌期以降の黒字と相殺することができます。事業計画や資金繰りなどでも大きな影響ある項目です。
過去の赤字を繰り越せる「繰越欠損金」
繰越欠損金は、過去の赤字を翌期以降に繰り越すものです。
例えば、前期に100万円の赤字があって、当期に150万円の黒字だった場合、繰越がなければ150万円×30%=約45万円の税金がかかります。
しかし、繰越欠損金があれば、当期の黒字150万円から繰越欠損金の分を控除することができます。
150万円-100万円=50万円×30%=約15万円の税金を払えばよいことになります。
繰越欠損金を利用するには、青色申告で確定申告書を毎期出していることなど条件があります。
特にスタートアップでは、創業当初は赤字が続くことが普通ですし、その赤字を繰越されていき、利益が出始めた段階でもその繰越欠損金を利用することで、税金の支払いを軽減することができます。
繰越欠損金は(原則)10年間使える
この繰越欠損金には、期限があります。
原則として、10年前までの欠損金しか使えません。10年以上前に赤字だったとしても、それは黒字と相殺できません。
ただし、資本金が1億円を超えているような大企業の場合は、全額を繰り越すことはできず、一定の率をかけた金額だけ繰越して翌期以降の相殺に利用することができます。
創業当初は赤字続きで繰越欠損金が貯まっていて、これを使い切れずに10年の期限が過ぎてしまうと少しもったいない感じもあります。
だからといって利益を急激に増やすことはできませんが、事業計画を考えるうえでは、各年度に発生した繰越欠損金がいつごろ期限が過ぎるのかは把握しておいたほうがいいでしょう。
繰越欠損金は事業計画&資金繰りにも影響する
銀行から融資を受ける場合やベンチャーキャピタルから出資を受ける場合でも、事業計画は必須のものです。
どんな小さな会社でも、融資や出資を受けている場合は一度は策定する機会があるのではないかと思います。
そのときに、税金の支払いがいつ・どれぐらい生じるかを見積もることは重要です。
利益が出れば、当然税金も発生します。でも、繰越欠損金が一定額あると、利益が出ていても税金は発生しないこともあります。
また、資金繰りを考えるうえでも、繰越欠損金があると税金が軽減されるので、資金繰りにも良い影響があります。
利益が発生しても、繰越欠損金がどれぐらいあるかは考慮しておく必要があります。
このように、事業計画や資金繰りにおいても、繰越欠損金の金額・見積額は重要な要素になります。
創業間もない会社などで、赤字が続いていた場合には、繰越欠損金も確認しておきましょう。
▪️編集後記
昨日は先日口座開設した信用金庫でネットバンク開設の手続き。と思ったら口座開設してから1ヶ月はネットバンクは申込みできないとのこと。そんなこと書いてたか。。。?
その後、会計士業。
▪️娘日記
ミルクの飲む量も増えてきました。あご周りが二重あごになってきて、貫禄があってかわいい。