節税はお問合せの多い事項です。書籍でもSNSでも節税テクニックを紹介しているものは多いです。節税はテクニック的な部分もありますが、テクニックだけでは限界がありますし、やりすぎると脱税になります。節税について、テクニックというより、ポイントにまとめて整理します。
売上(仕事)を減らす・変える
仕事を減らす
節税をしたくなる気持ちになるのは、「こんなに一生懸命働いてせっかく稼いだ金を、何で税金にとられないといけないんだ!」と感じるからだと思います。
税金は対価性を感じにくいものです。たくさん払ったからといって、行政サービスが便利になったとはあまり感じないでしょう。
政治家の裏金疑惑のニュースを目にしたりすると、税金を払うことに抵抗を感じることもあるでしょう。
だったら、売上(仕事)を増やしすぎない、ということも大事ではないかと思います。
売上が減って利益が減れば、税金も減ります。仕事が減れば自分や家族との時間が増え、気持ちに余裕も生まれます。
食べていく分の稼ぎは当然必要ですが、仕事が増えすぎてイライラして、税金は払いたくないからとあれこれテクニックを弄しても、一歩間違えば脱税です。
そもそも売上(仕事)を増やしすぎないというのも、節税のポイントです。
前金でもらう
商品やサービスを提供する前に前金をもらった場合、入金の時点では売上にはなりません。
売上の計上タイミングが遅れることになるので、利益が圧縮できる可能性があります。
売上の計上を「遅らせている」だけなので、長い目で見れば払う税金は変わりません。税金を減らすというより、税金を払うタイミングを遅らせている(繰り延べている)に近いです。
「それだと大して節税になってないじゃないか」と思うかもしれませんが、節税とはそんなもんです。
節税の多くは、繰り延べです。
ただ、前金にすることは節税だけでなく、資金繰りの面でもメリットがあります。
サービスを提供してから請求をして入金してもらえないというリスクを回避することができます。
業種によっては難しい部分もありますが、前金は節税にも資金繰りにも有利なので、積極的に検討しましょう。
「法人」を活用する
会社というのは、法律上は人間と同じ「人」になります。「法律上」は「人」として扱うから「法人」となります。
会社は法律上は「人」なので、会社という組織が、経済や社会のあらゆる活動の権利義務の主体となり得ます。
「会社」という人格と、その会社を経営する「社長個人」の人格を使い分けることで、節税になることがあります。
具体的には、
- 自分の会社で自分に給料(役員報酬)を支給する(ただし、金額は固定する必要あり)
- 自分にボーナス(役員賞与)を払う(ただし、事前に金額を決めて税務署に提出する必要あり)
- 出張旅費(出張旅費規程を作る)
- 会社で住宅の賃貸借契約をして、家賃を経費にする
といった方法は、会社と個人とが別人格であることで活用できるものです。
備えをする
会社の社員(社長含む)の資産形成やリスク対策のため、国として税制で優遇されているものがあります。
具体的には、
- 経営セーフティ共済(解約すると収入が増えて税金が増えるので注意)
- 生命保険(不要なものには入らないように注意)
これらの積み立てた金額は、会社の経費にすることができます。
節税の「節」とは、「みさお。こころざしを固く守ること。ほどよい。ひかえめにする。」というような意味があります。
資金繰りを考えるうえで、節税は当然重要な論点ではありますが、「税金を節約=節税」だけでなく、「節度を持って税金を払う=節税」という意識も持ってみましょう。
税金を払うのは「痛い」という気持ちもありますが、その痛みを乗り越えることも経営です。
▪️編集後記
昨日は税理士業。ブックオフで本の買い取り、セミナー企画、Kindle執筆など。
GensparkというAIを使ってみました。Perplexityのような検索に強みがあるAIです。新しいAIがどんどん出てきて楽しい反面、雨後の筍のように出てくるAIサービスを、どこまで追いかけるか悩みどころではあります。