公認会計士が人手不足に陥っているというニュースを聞くことがあります。正確に言うと、会計監査をする会計士が不足しているようです。協会や金融庁は会計士という仕事に魅力を持ってもらうためにPR活動をしているようですが、公認会計士という仕事の魅力について、私の考えをまとめました。
稼げるのか?自由に働けるのか?
監査を行う公認会計士の人手が不足しているということは以前の記事でも触れました。業界でも、会計士の不足を打開するために、会計士の魅力を伝える講演などを大学生に向けて実施しているようです。
兵庫県立大学において令和5年10月18日に講演を行いました。
こういった講演を聞いた大学生が、公認会計士に魅力を感じて受験するようになるかはわかりません。(この資料はちょっと。。。)
私が会計士に興味を持ったきっかけは、「収入が良いと聞いたから」「国家試験だから受かれば食いっぱぐれはないと思ったから」でした。
会計士に魅力を感じるかどうかは、こういうもっと生々しい情報かと思います。もちろん勉強をしていったり、合格して実際に会計士の仕事をすることになって、会計士の社会的な意義も意識するようにはなります。
とはいえ、最初のきっかけとしては、収入とか働き方とか、そういった身近なところに魅力を感じるかだと思います。
実際、会計士になって、どうなのか。
稼げるかどうかといえば、それなりに働けば稼げると思います。監査法人1年目の収入は新卒の初任給の平均よりは高いと思いますので、若いうちに会計士になって監査法人に就職すれば、同世代の平均よりは収入は高くなる傾向にあります。残業も多いので、残業代も出ればもっと稼げます(良いか悪いかは別として)。
働き方の点では、監査も最近はリモートで実施するところも増えているので、リモート勤務もしやすいと思います。私はコロナ禍になってから監査をしていないので、監査をする側の内情は詳しくわかりません。ですが、経理として監査を受ける側ではあったので、ほとんどをリモートで監査対応をしていた記憶はあります。100%リモートというわけにはいかないかもしれませんが、比較的自由な働き方ができると思います。
会計士になるための壁
会計士になるためには、「試験の壁」、「実務経験の壁」、そして、「覚悟の壁」の3つがあると思います。
「試験の壁」、「実務経験の壁」は高いですがイメージしやすいと思います。
会計士の試験は大きく分けると2つあり、1つ目に受かると仮免の状態、2つ目に受かると正式な公認会計士になれます。1つ目の仮免の試験が合格率10%ぐらい、2つ目は50%ぐらいなので、95%の壁を超える必要があります。(2つ目の試験であきらめる人も結構います。こちらで書きました。)
実務経験は、監査などの仕事を数年間実施やればだいたいの人は突破できます。
最後の「覚悟の壁」が一番厄介です。
会計士の試験はそれなりに難しいです。人生のある一定の時期を勉強だけに使うことも必要になります。また、監査の実務も、最初は何もわからず、先輩を見て覚えるという風潮も少なからずあり、最初は結構大変です(もちろんしっかり教えてくれるチームもありますが、そこは運です)。
会計士を目指す人の多くは20代の若い人ですが、気力も体力もある20代の一時期を勉強や仕事だけに費やすことは、他の経験をする機会を失うことでもあります。特に試験は、頑張ったからといって必ず受かるものでもありません。
仕事や勉強だけに集中する期間があることも良いことかもしれませんが、それを魅力に感じるかは人それぞれでしょう。
会計士の魅力はたくさんある。ただし、失うものもある
私自身、会計士になって良かったと心底思います。生まれ変わっても会計士を目指すかもしれませんし、子供がいれば、本人が望めば是非なってほしいと思います。
取締役会の議事録など、普通は見ることができない社内資料を見る機会もありますし、会社がどういう仕組みで動いているのか(いわゆる内部統制)も間近で知ることができます。その会社の正社員じゃないとアクセスできないような情報を、何十社と監査を通して見ることができるのは、会計士ならではの魅力だと思います。
一方で、失うものもあります。
試験に受かるまではずっと室内にこもり切りで勉強漬けの毎日ですし、仕事を始めてからもわからないことだらけで身も心も削られます(もちろんそうならずにバリバリやる人もたくさんいます)。
会計士になると魅力はたくさんありますし、それなりに稼げますし、自由な働き方も工夫次第では可能です。モテるかもしれません。
ですが、人生の貴重な時間を大量消費しますし、万人におすすめはできません。
それでももし、目指したいと思うのであれば、本気で目指していただきたいと思います。