先週、公認会計士試験の合格発表がありました。もう10年以上前のことになりますが、私は4回目の挑戦で合格しました。合格したときよりも、落ちた時の方が記憶に残っています。
短答式で3回の失敗
今年の公認会計士試験は、合格者が1,544人、合格率は7.6%だったようです。
私が受験したときも、合格者・合格率は今年とほぼ同じぐらいの水準でした。
合格した人は今から就職活動に入り、残念だった人は次もチャレンジするか、撤退するかの選択が迫られるのでしょう。いずれにしても、命を削る思いで勉強してきた経験は、一生忘れることはないでしょう。
私の場合、短答式試験に3回失敗し、4回目で合格できました。そのまま論文式にも合格し、4回のチャレンジで試験をパスできました。論文式よりも短答式の方が大変だった印象があります。
短答式は、試験当日に専門学校で解答速報が作成されるので、試験が終わったその日には自己採点し、合否がおおよそわかります。
失敗した3回は、自己採点で不合格であることがだいたいわかったのですが、あまりショックだったという記憶はありません。まだ20歳ぐらいで若かったので、すぐに次の試験に向けて切り替えられました。
今思えば、悩まずにチャレンジを続けられるというのは、とても恵まれた状況だったと思います。
落ちた後に考えたこと
短答式の回答を自己採点して、不合格だとわかったときは、一瞬ショックでしたが、そこまで引きずることもありませんでした。自己採点する前から、何となく出来が良くなかったと感じていたので、「やっぱり」という感じでした。
ですので、割と早く立ち直って、次の試験に向けて再始動した記憶があります。まだ20歳の大学生でしたので、仕事を探す必要もなく、実家住まいで生活にも困っていなかったので、悩まなくていい環境だったと思います。
社会人になった今、新しい資格試験にチャレンジして仮に不合格だった場合、再チャレンジするか撤退するか、相当悩むことになるでしょう。家族の生活もありますし、仮に1年後に受かったとしてその後仕事につながるかどうかも不透明です。
若さと学生という身分が、再チャレンジに踏み出せる大きなアドバンテージでした。また、再チャレンジするにあたりお金の面でお世話になった両親にも恵まれていたと思います。
合格してから思ったこと
3回の不合格の後、4回目の短答式で何とか合格し、続く8月の論文式にも合格し、会計士になる資格を得ました。合格してから思ったことは、一部の天才を除き、合格する人/不合格だった人に、ほとんど差はないなということです。答練や模試の回答、テキストの主要な部分はほとんど暗唱できるぐらいに暗記していましたが、それだけのことをしても、ミスをしたりド忘れしたり、ほんの些細なことで合否は分かれます。
合格した人は頭が良くて努力をしていて、不合格だった人はそうではないというわけではありません。
努力はみんなしています。運と、周りの環境と、最後まで粘る気持ちが合否に影響しているように思いました。
今年の会計士試験で、残念ながら不合格だった人で、もし学生だったり、時間やお金に余裕があってすぐに仕事を探す必要がないのなら、ぜひ再チャレンジしてほしいと思います。それだけ恵まれた環境は今後の人生で二度とないと思ってもいいです。社会人になったら、どれだけ貯蓄があろうが家族に収入があろうが、社会人が働かずに勉強に専念するのはそれなりに覚悟がいります。学生だったり20代だったりすれば、まだチャンスはあります。
来年が最後のチャンスだと思って、もう一度チャレンジしてほしいと思います。
そして合格した人も、その後が必ずしもバラ色の人生とは限りませんし、監査法人に就職すれば、みんなが試験に合格した人なので、自分が試験に受かったことなど何の長所にもなりません。
自分の能力に驕らず、環境が恵まれていたということを認識して、せっかく取った資格を活用して、これまでお世話になった人や社会に貢献してもらいたいです。