力を抜くことは、プロ失格か?

全ての仕事を余すことなく全力でできれば理想ですが、そうはいかないことも多いです。力の抜きどころを誤らないようにする必要があります。

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「力を抜く=手を抜く」ではない

全ての仕事にメリハリなく全力でできれば良いですが、現実には体力も時間も限られています。

優先順位を付けて、優先順位が高いものには力を入れ、低いものは力を抜いてメリハリを付ける必要があります。

力を抜くといっても、サボるわけではなく、法律に抵触していないかを確認し、効率化できることがないかを検討し、お客様にとって価値があまりないのではないか、ということを検討することを言うと思います。

どういう観点で力の入れどころ、抜きどころを見極めるか、税理士の井ノ上陽一さんの「すべてをがんばりすぎなくてもいい!顧問先の満足度を高める税理士業務の見極め方」が参考になりました。

特に、以下の内容が印象に残っています。

  • 仕事の入り口(契約する前)の整備に力を入れる。
  • お客様が必要と思っていること(税理士の場合、節税・資金繰り・税務調査)には力を入れる。逆に、月次の試算表を読み上げる、数円単位の細かい数字のチェックに心血を注ごうとしない。
  • 力を抜くといっても、脱税・法に触れる行為・お客様の意思決定を誤るようなミスは御法度。

士業は専門性が高い一方、視野が狭くなりがちです。細かい条文や規定に目が行って、お客様である社長や個人事業主を置いてけぼりにする可能性もあります。

士業として必要なことは当然やりながらも、お客様の方も向かないと、「お堅い先生」になってしまうかもしれません。

すぐに捨てる資料を頑張って作ってた独立当初

独立をして税理士をしていたころ、個人の確定申告の支援をしていて、一通り申告も終わった後、お客様にパワポで資料を作っていたことがありました。

収入額から所得控除額、納税額までを図式で示して、最終的に収入の何%が税金になったのかを示した報告書のようなものです。そして、それを紙に印刷して、ホッチキス留めしてお客様に提出していました。

あそこまでやる必要があったのか、今となってはやり過ぎだったかなと思うこともあります。

お客様にとって知りたいのは、いくら税金を払う必要があるのかで、ふるさと納税による所得控除とかはあまり興味がないでしょう。

でも、自分では目に見える報告書を作って、仕事をした気になっていました。

そういうところに力を使うのではなく、来年に向けて、利用できる節税があるかとか、紙を使わずに確定申告を済ませられる方法がないかとか、そういったことを考えることに力を使うべきだったと思います。

力を抜くのも、勇気がいる

そんなに重要じゃないことに力を入れてしまうのは、「その方が楽だから」ということもあると思います。

「そもそもこの仕事時間かける必要あるか?」ということを考えるよりも、「去年もやってたから」という理由でそれなりに時間をかければ仕事をした感があります。

「やらなくていい」、「自動化する」などといったことを決断するのも、勇気がいることです。

上司やお客様から「何でやらないの?」と聞かれたときに、しっかりと説明できる必要があります。そのためには、日頃からの鍛錬が欠かせません。

  • そもそもなぜこの仕事が必要なのか?(法令を理解する必要がある)
  • 会社(お客様)にとって必要なことなのか?(会社やお客様の状況を理解する必要がある)
  • 他に力を入れるべきところがないか?

そういったことを日頃から仕事や勉強を通じて考える必要があります。

力を抜くことは、手を抜くことでもサボることでもなく、本当に力を入れるべきことにフォーカスするためにも必要なことです。

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