「2割特例」という言葉は一般的か?

昨年から始まったインボイス制度には、「2割特例」というものがあります。この「2割特例」という言葉をお客様と話すときも使うかどうか。私は使っています。他に適切な表現がないからです。

目次

インボイス制度の特例「2割特例」

「2割特例」とは、「売上に対する消費税×20%」を消費税額とみなして計算する方法です。
例えば、年間の売上が税込み1,100万円の場合、消費税相当額は100万円なので、「100万円×20%=20万円」が納付すべき消費税となります。

「特例」とあるように、これは原則的な計算方法ではありません。
消費税の計算は通常、計算が複雑な「原則課税」と、比較的簡単にできる「簡易課税」があります。
「簡易課税」は言葉通り比較的簡易に消費税が計算できますが、複数の業種を営んでいる場合(卸売業をやりながら不動産業をやっているみたいな場合)などに、計算がやや複雑になることがあります。

その点、「2割特例」は複数の業種の仕事をやっていようと、一律「売上の消費税×20%」で計算できるので、簡易課税以上に計算が簡単にできます。

ただし、2割特例が使えるのは、年間の売上が1,000万円以下で、インボイスの登録をした会社や個人事業主だけです。
また、2026年までの暫定措置なので、ずっと使えるわけではない点に注意です。

「2割特例」は一般的な表現か?

「2割特例」という言葉は、インボイス制度でしか出てこない言葉ですし、経理・税務界隈でしか使わない言葉でしょう。
士業は当たり前のように「専門用語」を使うクセがあり、私も気をつけている部分ですが、この「2割特例」という言葉も「専門用語」として、もっと「わかりやすい」表現に直したほうがいいでしょうか?

私はお客様とも「2割特例」という言葉を使っています。
この「2割特例」に関しては、無理やり別の表現に直すものでもないかなと思っています。

一般的な表現に直すとすると、「売上の消費税の20%が納める消費税にできる制度」みたいな感じでしょうか?
なんか分かるような分かりづらいような、あまりピンときません。

普通に「2割特例」がシンプルで良いかなと思っています。

無理に「わかりやすくしよう」としない

「専門用語」とか法律独特の言い回しをそのまま使おうとせずにわかりやすい表現にすることは必要でしょう。
しかし、過剰に平易な言葉を使えばいいというものでもないです。逆にわかりにくくなることもあります。

専門用語を使うなら正確に使うべきというような記事を以前書きましたが、変にわかりやすさとか平易な言葉を意識しすぎると、逆に情報が正確に伝わらないこともあります。

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「2割特例」という言葉については悩ましいところですが、一応それなりに表現として浸透しているのではないかということと、「2割特例」という響きで何となくどういう内容なのかが推測できます。「2割が消費税なんだな」という雰囲気は言葉だけで分かります。

そういうこともあって、私は基本的に「2割特例」という言葉はそのまま使っています。
(もちろん最初に説明はしますが)

国税庁からは先月末に「2割特例特設ページ」が開設されました。
分かりやすそうで何とも分かりにくいページなので、無理に見る必要はないですが、気になる方はチェックしてみてもいいと思います。



▪️編集後記
昨日は税理士業。自分の事務所の融資申請の手続きなど。
iPhone16が発表されましたね。今使っているスマホ(iPhone SE2)が4年ぐらい使っているので、今回は購入します。

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