難解な本を読むことも「効率的」である

「百冊で耕す」を読んでから、哲学や日本・海外の古典文学を少しずつですが読むようにしています。プラトン著「ソクラテスの弁明」は、難しくて正直あまり理解はできませんでしたが、わからなくても最後まで読み切ったことが自信につながっています。

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ほとんどよくわからない「ソクラテスの弁明」

「ソクラテスの弁明」は、ソクラテスの弟子であるプラトンの著作です。ソクラテスが国家に反逆したという罪を着せられ、裁判にかけられるのですが、その時にソクラテスが語ったとされる弁明を書き記したものです。

有名な「無知の知」もこの本の中に出てきます。2,000年以上前に書かれた本ですが、当時の知識人とされる人たちが無知であることを、ソクラテスが議論を尽くして暴いてしまって恥をかかせたりなど、ソクラテスが有名で人気があったが故に一部の人から嫉妬されてしまったのであろうことは、現代にも通じるところを感じました。

出る杭は打たれるというのが日本の悪しき風習のように言われますが、日本に限らず、古今東西出る杭は打たれてきたのではないかということが、この本を読んでいて思いました。

本のボリューム自体はそれほど多くはないのですが、さすがに1回読んだだけではなかなか理解できません。難しい言い回しも多く、理解を深めようと思うと何回も読む必要がありそうです。ですが、理解がそこまでできなくても、名著と呼ばれる本を読んだこと、2,000年以上前の遠い国の本に触れたことは、何となく満足感も感じます。

内容やあらすじではなく、名著の空気に触れる

内容やあらすじを知るだけでしたら、わざわざ本を読む必要もないでしょう。Wikipediaにも「ソクラテスの弁明」について詳細に説明がありますし、もっと簡単に概要を知ろうと思えば要約サイトを見れば10分ぐらいで内容はわかります。その要約だけを見れば、自分で本を読むより内容を理解できるかもしれません。

しかし、こういう本は内容やあらすじはどうでもいいです。それよりも、名著の空気に触れることが重要です。

さすがに原文ではなく現代日本語でわかりやすく翻訳されたものではありますが、それでも、当時のギリシャの文化や自然に対する考え方(太陽は神様である等)にも触れることができます。

それを知ったところですぐに仕事に役立つわけではありませんが、自分とは違う国や文化を理解する一つの手段として、名著とされる本を読み、その空気に触れるということも重要ではないかと思います。

難解な本を読むことも「効率的」である

また、こういった難解な本を読むことは、ある意味で「効率的」でもあると思います。

難しい本が読めれば、簡単な本を読むことも造作なくできるようになるからです。

最近のビジネス書は図解やフォントによる強調などがされていて、非常に読みやすくなっている一方、古典とされる本にはそういった工夫はなく、解説本を読むしかありません。

文字の羅列だけで難解な概念を理解することは骨が折れますが、訓練を重ねていけば最近のビジネス書を読むことはより簡単になります。

日本や世界の経済動向はめまぐるしく変わっていき、そこにキャッチアップしていくには最新のビジネス書などで素早くインプットすることが求められますが、そのときに、難解な本で読書に対する基礎体力をつけておくと、より多くの情報を入手することができます。

難解な哲学書や古典文学を読むことは一見遠回りなようでも、仕事にも役立つこともあるのではないかと思います。

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