ミニマリズム、エッセンシャル思考、反応しない技術など、物質的な豊かさではなく主観的な幸せを求めるべきという自己啓発の動きがあります。私もその考えに近いですが、そんなに新しい考えではないようです。
「足し算型の自己啓発」と「引き算型の自己啓発」
「人生は心の持ち方で変えられる?」という本によると、自己啓発には大きく「足し算型」と「引き算型」があります。
「足し算型」とは、昔からあるような「思考は現実化する」、「夢は書き出せば叶う」、「7つの習慣」のような、「欲しいものを強く願って努力すれば、望んだものを得られる」というような考えです。
日本では、松下幸之助や稲盛和夫なども多くの書籍を残しています。
一方、「引き算型」とは、「脱物質主義、私生活優先、幸福志向」というような、「人生から余計なものを『引く』と不安やストレスがなくなり、自分のやりたいことが見つかり、幸福度が上がる」(P.4)というような考えです。
ひろゆきとかこんまりのお片付けなどは、こちらの考えに近いものです。
書店に行けば、「外資系コンサルの仕事術」とか「仕事ができる人が考えていること」というような「足し算」っぽいビジネス書もありますし、「反応しない練習」、「心を整える」など、「引き算」っぽい書籍もたくさん並んでいます。
「足し算型」も「引き算型」も同じこと
「足し算型」でも「引き算型」でも、本質は同じことです。
カネやモノをたくさん手に入れることで豊かさを得るという方向性か、余計なものを持たずに豊かさを得るという方向性の違いでしかありません。
いずれにしても、「自分のことは自分で何とかしないといけない」、「他人からではなく、自分で(お金あるいは心などの)豊かさを手に入れようとする」という、文字通り「自己」を啓発しようとするものです。
「人生は心の持ち方で変えられる?」の本の中では、これは、コミュニティが枯渇しているからではないかと述べられています。
豊かなコミュニティやネットワークが希少財になっている世界において、前向きに生きていくための心理的なリソースの調達はますます困難になるだろう。どのような自己啓発にも何らかの人間関係が不可欠になる場面がある。ビジネス書を読むよりも、ロールモデルに相応しい人物と接点を持ったほうがいいかもしれず、瞑想をするよりも、元気をくれる知り合いとお茶でもしたほうがいいかもしれない。孤立無援では早晩行き詰まるのは目に見えている。(P.210)
自分で何でも解決しようとせず、助言や解決策をくれるかもしれない人間関係をつくることも大事なのかもしれません。
私も独立して、社員を雇うことはなく、基本は一人で仕事をしています。
気楽で楽しい一面はありますが、仕事でわからないことがあっても助言をくれる人はすぐにはいません。
本やネットを見れば解決するとも限りません。
一人で独立しているからといって、孤独にはならないようにしなければなりません。
人脈ではなく、コミュニティを
コミュニティというと、仕事を紹介し合うような集会や異業種交流会のような「人脈」を形成する場所というイメージがあります。
これも一つのコミュニティでしょうが、何かしっくりきません。
コミュニティは、そんな「仕事臭」しかしないものばかりではないでしょう。
少なくとも私はそういう場所が好きではないですし、参加するとなると気が重くなります。
自分がどういうコミュニケーションが好き・あるいは得意で、どういうコミュニティを見つけていくかということが、自己啓発本を読み漁るより重要なことなのかもしれません。
私も月に2〜3回ぐらいのペースで、趣味の集まりや大学・士業の集まりに参加しています。
その中には居心地が良く、継続的に関係を持ちたい人と出会うことがあります。
本やSNSで情報収集するのもいいですが、オフラインでの人とのつながりはネットやAIが普及しても変わるものではありません。
人生は心の持ち方で変えられる?~〈自己啓発文化〉の深層を解く~
▪️編集後記
昨日はオフ。中古の車を購入しました。やっぱり地方では車があった方が時間短縮にもなります。
▪️娘日記
足を軽くマッサージすると泣き止みます。気持ち良いんでしょうか。