インボイス制度が始まり、新たに消費税の申告・納付をする人もいると思いますが、事前に手続きが必要なものもあります。簡易課税の申請もその一つです。
簡易課税の申請はネット(e-Tax)で出すことができる
消費税の簡易課税とは、文字通り消費税の計算を簡易に計算できる制度です。
通常は売上に含まれている消費税と、費用に含まれている消費税を差し引いて、申告する消費税の金額を計算しますが、簡易課税を利用すると、売上に含まれている消費税に一定の率を掛けるだけで良くなります。
費用には、消費税を含めて支払っているもの(消耗品費や通信費など)もあれば、消費税を支払っていないもの(給料や利息など)もあり、一つ一つ消費税がかかっているかを確認するのは手間ですが、簡易課税を使えばそういった確認が不要になるので、計算が楽になります(誰でも使えるわけではありませんが)。
簡易課税を利用するには、事前に税務署に届出が必要です。「事前に」というのは、消費税の申告をする期間が始まる前日までです。
2024年4月1日から消費税の申告が必要な事業期間が始まる場合、2024年3月31日までに届出を出す必要があります。事前に出さないと原則的な方法しか使えないため、税額も大きく変わる可能性があります。
届出の出し方は、紙の申請書を手書きで書いて税務署に提出する方法もありますが、ネットで手続きもできます。
e-Taxで簡易課税の申請
簡易課税の届出をネットで行うには、e-TaxのWEB版にログインする必要があります。
e-Taxのシステムにはパソコンにソフトのインストールが必要なソフト版(受付システム)と、ブラウザで動かせるWEB版の2種類があります。ややこしいですが、今回はWEB版を使います。
マイナンバーカードと、マイナンバーカードを読み取るカードリーダー or アプリをインストールしたスマホが必要になります。
ログインしたら、「申告・申請・納税」クリックします。
次に、「新規作成」のところにある「操作に進む」をクリックします。
「所得税及び消費税の申請・届出を行う」の項目のところに「消費税簡易課税制度選択届出」があるので、これをクリックします。
必要項目を入力します。
「適用開始課税期間」については、消費税の申告をする期間を記入します。個人事業主で、今年(2024年)から簡易課税を使う場合は、2024年1月1日〜2024年12月31日と記入します。原則的には、2024年から簡易課税を選択した場合は、2023年までに届出が必要になります。しかし、インボイス制度により、もともと消費税の申告が不要な人がインボイスの申請をして消費税の課税をする場合は、2024年に出しても、2024年から簡易課税を適用することができます(2029年までの経過措置です)。
入力が終わると、確認画面になりますので、「次へ」をクリックします。
送信画面になりますので、送信したら届出は完了です。
後日、税務署から連絡が来るので、手違い等がなければ、簡易課税が適用できるようになります。
事前に届出を出さないと、簡易課税は使えない
すでに書いたように、簡易課税を行うには、事前に届出を出す必要があります。
原則と簡易課税の両方で消費税を計算してみて、安い方で申告する、ということはできません。
1年後、2年後を見据えて手続きを行う必要があるため、不安であれば税理士や税務署に相談しましょう。
逆に、簡易課税ではなく、原則的な方法で申告する方が、手間はかかるけど税金が安くなる場合もあります。
多額の設備投資などを行っている場合は、原則を選択して消費税の負担を抑えたいというニーズもあります。
このような場合、すでに簡易課税を適用している場合には、簡易課税を「不適用」とする届出が必要になります。
これも事前に届出が必要なため、将来の消費税の計算をどのようにしていくのか、見通しを立てて確認をする必要があります。