奈良に限らず、日本各地に仏像はありますが、あれらの仏像も、経理上は固定資産になります。
減価償却できるならする
日本各地のお寺などにある仏像は固定資産になります。
固定資産である以上、原則は減価償却が必要です。
ただ、実際に仏像を減価償却するのは難しいでしょう。
耐用年数なんてわかりません。数百年とか千年前に造られたものだったりしますし。
取得価額もわかりません。東大寺の大仏がいくらなのかなんて、誰にも判定できないでしょう。
減価償却は、時の経過に応じて価値が減少していくものを費用として計上していくものですが、仏像の価値が時の経過で減少しているとも考えにくいです。むしろ上がっていくかもしれません。
なので、会計士協会が出している指針では、「減価償却した方がいいものはすべきだし、しない方がいいものはしなくていい」というようなことになっています。
また、国税庁によると、取得価額100万円を超える美術品などは、原則として減価償却しないということになっています(例外はありますが)。
ただし、仏像といっても、アンテナショップや駅の近くにあるような「仏像っぽいもの(せんとくんとか)」は、普通の固定資産という扱いで減価償却が必要です。
歴史的価値のあるような、金額をつけることすら「おこがましい」と考えられてるもの、価値が減少していかないものは、土地と同じ扱いで減価償却しないということになります。
減価償却の目的
減価償却の目的は、教科書的に言えば「適正な期間損益計算」のためです。
オフィスビルや機械、パソコンなど、複数年にわたって使用することが想定されるものは、複数年にわたって経費(減価償却費)にすべき、という考え方からきています。
オフィスビルを買った場合だと、だいたい40年ぐらいは使い続けるであろうということで、40年ぐらいにわたって経費(減価償却費)にする必要があります。
経費になるのは40年間で少しずつですが、その資産の取得のために実際にお金を払ったのは取得時のみだと、残りの39年間は「お金は出ていかないけど経費にはなる」という状況になります。
なので、資金繰りを考えるとき、借入金の返済財源がいくらあるのかを集計するときは、「利益+減価償却費」で返済の財源を計算することがあります。
また、節税のために型落ちのベンツを買うというのも、型落ちだと耐用年数が短く、1年間で経費にできる減価償却費の金額が大きくなるため、節税になるということになります。
減価償却費は、目的は「適正な期間損益計算」ではありますが、資金繰り・節税・経理の点でかなり多くの論点が含まれており、経理では重要な論点になります。
普通の会社では、たいていの資産は減価償却が必要(土地以外)
仏像のような特殊な資産については、価値が減っていかない、利用年数(耐用年数)がわからないということもあって減価償却しないことは考えられます。
しかし、普通の会社の場合、減価償却しない資産は、土地などを除けば存在しません。
税法では、10万円未満あるいは30万円未満だと減価償却しなくていいという規定はありますが、原則はたいていの資産で減価償却は必要です。
期末付近に利益が多く出過ぎたからといって何か経費になる高額なものを買ったとしても、減価償却があるのですぐには経費になりません。むしろ、毎年減価償却費を計算しないといけなくなるので、手間が増えてしまいます。
減価償却は、経理をするうえでは非常に重要なので、資産が多い会社は概要は把握しておきましょう。
▪️編集後記
昨日は税理士業の打ち合わせと作業。セミナーの準備や機材のリハーサル。動画収録に失敗したので、今度は間違えないようにしないと。
その後、「宿雨」でかき氷を食べました。