たまに独立の相談を受けることがあります。「組織で働くのが向いてない」という理由で独立を考えている人が多いのですが、「組織が向いてない」=「独立に向いてる」かというと、難しいところです。
「自分、組織向いてないんですよね〜」
私が独立しているからなのか、たまにですが飲み会の場などで元同僚や後輩と独立の話になることがあります。
「なぜ転職ではなく、独立なのか」を聞いてみると、曰く、「組織で働くのが向いてない」とのこと。
パワハラもあるし、朝は始業の30分前には満員電車で出社しないといけないし、夜は深夜(朝方)まで飲み会がある。こんな組織にずっと居続けられる気がしない。
気持ちはすごくわかります。というより、私もそれが嫌で独立したクチではあります。
独立したら、確かに自由度は上がります。
上司はいないですし、スタッフを雇っていなければ部下もいません。定時があるわけではないので嫌なら満員電車に乗る必要もありません。
会社組織特有の文化に従う必要もありません。飲み会も嫌なら行かなくても済みます。
ですが、組織で働くのが向いてないからといって、独立に向いているかというと、なんともいえない部分もあります。
独立しても、勤務時代に「辛い」と思っていたことをやる羽目になるかもしれないからです。
独立したら解決するとは限らない
会社員時代に「辛い」と感じること、例えば
- 毎朝満員電車に乗らなければならない
- 無駄な会議にも参加しなければならない
- 夜も付き合いで飲み会に行かなければならない
- 上司の顔色を窺わなければならない
独立したら、こういったことから解放されるかもしれません。しかし、場合によっては独立してからも同じことをしなければならなくなる可能性もあります。
- クライアント先に常駐する必要があり、毎日満員電車でクライアント先を訪問する必要がある
- クライアントから突然電話やWeb会議を入れられる可能性がある
- 契約を切られないように、接待であまり気乗りしない飲み会をする必要がある
- クライアントやチームのメンバーの顔色をうかがう必要があるかもしれない
独立すると、収入は勤務時代のように安定しません(ゼロから独立した場合は特に)。
この不安は、思っている以上に大きいものです。
なにせそれまでの30年以上の人生で、親からもらうお小遣いもそうですが、お金は毎月一定額入ってくるもの、という意識が植え付けられているからです。
頭ではわかっていても、収入が安定しない状況は、思いの外不安にさせるものです。
そんな不安に漬け込むビジネスもたくさんあります。
「紹介手数料●%払えば、安定収入が見込めます」とか、「苦手な営業は外注して、本業に集中しましょう」という謳い文句で安定収入という甘い誘いに乗りそうになるときもあります。
この不安に耐えきれず、安定を得ようとすると、独立前に「イヤ」だと思っていたことを我慢して受け入れなければなりません。
独立すると、自由にもなり得ますが、この自由さ、裏を返せば「不安定さ」に耐えられるかどうかが、独立に向いているかのポイントだと思います。
組織に向いてるかどうかは、あまり関係ないでしょう。
独立に向いている人は、「裁量の大きさに耐えられる人」
「組織に向いてない、満員電車はイヤ」という理由で独立することはアリだと思います。それをきっかけに独立している人も多いでしょうし、私もそうです。
ただ、独立しても同じ轍を踏む可能性はあるということです。
独立すると、あらゆることを自分で決める必要があります。これは自由で良いことでもありますが、不安との闘いでもあります。
この裁量の大きさに耐えられるか、裁量の大きさを好む人が独立に向いている人といえるでしょう。
とはいえ、独立してみないとわからないことも多いです。
後輩から「独立ってどうですか?」と聞かれても、「自分は楽しいけど、楽でもないからあんまり焦らなくていいんじゃない?」としか言えません。
(本気で独立をしたいなら、全力で応援します)
▪️編集後記
昨日は歯医者に行き、その後心斎橋のAppleストアでMacの修理に。しばらくMacは預けることになりました。
その後、心斎橋のカフェで打ち合わせ。自宅に戻り、税理士業。