上司と部下との関係で、こまめに1on1があっても心を開かないことがある一方で、些細な一言で心を開くこともあります。この違いは何なのか。
「心理的安全性」の名のもとに
組織で働いていると、上司と部下という関係性があり、上司は部下にできるだけ高いパフォーマンスで働いてもらおうとします。そうしないと、上司である自分のパフォーマンスに関わるから。
最近では、「心理的安全性」という言葉が多く聞かれます。書店でもこの言葉が入った本や雑誌をよく見かけます。それだけみんな悩んでいるということでしょう。
私も会社に勤めていたときは、自分の部署の「心理的安全性」に注意せよ、ということを言われました。そのために、こまめに1on1をしたりコーチングの研修を受けたりしました。
しかし、そういった施策で「心理的安全性」を高められたのかどうかの自信はありません。少なくとも私は全く「心理的安全性」を感じず、間もなくその会社を退社することになりました。
昔の上司に救われた「ある一言」
一方で、別の会社では逆のパターンもありました。
自分の仕事が煮詰まってきて、忙しくしていたとき、近くにいた上司から、
「眉間にだいぶしわが寄ってますけど大丈夫ですか?」と声を掛けられました。全く意識はしていなかったのですが、かなり険しい顔をしていたのでしょう。
その一言をきっかけに、今自分が躓いているところ、不安に感じていることを話すことができ、仕事もだんだん見通しを立つようになりました。
些細な一言ですけど、そうやって声をかけてもらうことで、「心理的安全性」が高まったといえるでしょう。
このときに感じたのは、1on1をこまめにするとか相手の話を傾聴するとかそういったテクニックではなく、関心を持ってもらっているということが重要だということです。
テクニックだけだと、バレる
会社の研修で聴くような「コーチング」や「1on1」を使っても、相手に関心がない or ないと思われてると、相手の「心理的安全性」は高まらないでしょうし、心を開くこともないでしょう。むしろ疑心暗鬼にすらなるかもしれません。
そういったテクニックは重要ですし、身につけて損はしないスキルだと思います。
でも、スキルだけ身につけても、そもそも相手に対して興味や関心がないと、相手はそれを見抜くでしょう。研修を受けてきた上司が、格好だけ「やっている感」を出してるだけと思われてしまうと、心を開くことはないでしょう。
スキルを身につけるのも大事ですが、それよりも、まずは相手に関心を持つこと。何か困ってることはないか、ちょっと声を掛けてみることの方が、よっぽど救われることもあります。
部下を持つ管理職の人は、本とか研修にあるようなテクニックを使うだけでなく、部下に関心を持ち、ちょっと声を掛けてみる、軽く雑談してみるといったことを