当事者意識の弊害

当事者意識を高く持つことは、仕事で成長するにあたって必要なことだと言われます。その通りだと思いますが、悪い当事者意識にさいなまれると、ずっと仕事にとりつかれ、心身を病んでしまうのではないかとも思います。

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当事者意識を高くもつこと

「ATI(圧倒的当事者意識)」という略称があります。リクルートとかでよく使われるらしいですが、「今この仕事には自分しかいない」という意識をもって、他人任せにせず、何ごとも自分に関わることだと思う意識で仕事に臨む姿勢を表す言葉です。

「圧倒的」といわれるまで必要かはさておき、仕事において当事者意識を高く持つことは重要でしょう。

上司から指示されたことだけをこなす、「自分の仕事はここまで」とすっぱり区切る、という姿勢は、その職場のその仕事でキャリアアップを目指すのであればあまり好ましい心がけとはいえません。

その職場で信頼を勝ち取るためには、組織が取り組んでいる課題が何なのか、そのために自分が何ができるのかといった高い視座を持ち、それを自分ごとと考えて行動することが求められます。

受け身な姿勢では、怒られはしないものの、信頼を勝ち取るのも難しいでしょう。

そういう意味では、当事者意識は高くもつことが重要です。

悪い当事者意識は、心身を病む

一方で、当事者意識の高さも間違った方向にいくと、心身を病むのではないかとも思います。

「自分がいないと仕事が回らない」と強く感じすぎてしまうと、プライベートも犠牲にして働くことになったり、他の人に頼ることもせず、自分で抱え込んでしまうリスクもあります。

他人を頼れず、自分で仕事を抱え込んでしまう人は、一般にプライドが高い、悪い意味での完璧主義が要因ともいわれますが、当事者意識が高く、自分で何とかしないとと思ってしまうのも要因なのではないかと思います。

あまり気乗りのしない仕事をしなければならないこともあるでしょう。そういった自分でやりたいと思えないような仕事をしているとなおさら、悪い当事者意識で心身を病んでしまうのではないでしょうか。

一概に当事者意識が高いとうまくいくとは限らないと思います。

良い当事者意識をもつために

心身を病むことなく、高いパフォーマンスを発揮するための良い当事者意識をもつにはどうすればいいのでしょうか。

それには、「自分がやりたいと自発的に思えるものかどうか」、「適度に休息をとっているか」の2点が重要だと思います。

自分であまり興味の持てないものだと、休日の仕事も夜遅くの仕事も辛くなってしまうでしょう。

仕事である以上、気乗りしなくてもやらなければいけないのですが、それもずっと続くと息切れします。やりたくはないけど仕事だから仕方なく、やるからには当事者意識をもって一生懸命やるという姿勢は良いと思いますが、「会社のため」、「自分の将来のキャリアアップのため」に今の自分を犠牲にして頑張るというマインドは、いつか心身に異常を来します。

理想的には、自分が興味のあること・やりたいことであれば、当事者意識を高く持とうと思わなくても、気づいたら頑張っているという状態にもなれます。

そういう仕事であれば、当事者意識も高く、かつ心身も健康に仕事に臨めるでしょう。

また、休息をとることも必要です。

どれだけ楽しい仕事でも、体力は減っていきますし、年齢を重ねれば回復も遅くなります。

ずっと仕事・勉強・キャリアアップと考えてばかりではなく、休息して何も考えない時間を作り、自分とゆっくり向きあうことも、良い当事者意識を持つために必要ではないかと思います。

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