freeeやMFクラウドといったクラウド会計ソフトでは、ネット銀行と連携をさせて、入出金の記録から直接経理処理をすることができます。便利な機能ですが、必ずしも使わなくてもいいと思います。
クラウド会計ソフトの銀行連携のメリット
ネット銀行とのデータ連携をすることのメリットは、
- 入出金の記録に漏れが出ない
- 残高をチェックする必要がない
- 自動で仕訳を作ってくれる
といった点が上げられます。
連携をさせないと、紙の通帳を記帳して確認するか、ネット銀行にログインして入出金の記録をわざわざ確認する必要があり、忙しくなるとなかなか確認ができなくなります。何か月かたって記帳して確認すると、何の取引だったか思い出せなくなり、記憶を思い起こすのに時間がかかったりします。
その点、クラウド会計ソフトと連携させておくと、毎日入出金の記録を自動で取得してくれるので、記憶が鮮明なうちに経理ができます。また、漏れなく経理ができるので、預金の残高も必ず合います。
銀行のデータを自動連携できるようになったのは、フリーランスやひとり社長で事業を営んでいる人にとっては大きなメリットだと思います。
連携することのデメリット
一方で、デメリットもあります。
- 借入金の返済や給料の経理処理がひと手間かかる
- プライベートの入出金も記録されてしまう
といった点があります。
借入金を返済した場合、通常は元本分に加えて、利息も合わせて支払いますが、クラウド会計ソフトで銀行と連携させた場合、元本と利息が合わせた出金データが記録されてしまいます。元本50,000円+利息1,000円=51,000円で出金データが取得されてしまうのです。
経理上は、元本の返済と利息は違う勘定科目を使う必要がありますので、これを手動で直すか、一括で修正の仕訳を入れるといった処理が必要になります。
また、プライベートと仕事で同じ口座を使っている場合、プライベートの支出も会計ソフト上で取得されてしまいます。
プライベートの取引は経理処理してはいけないので、「事業主貸(事業主借)」の科目を使うといった処理が必要になりますが、忘れてしまうとプライベートの取引が決算書に記録されてしまう可能性があります。
機械的に入出金のデータを取得しているので、少しイレギュラーな処理があるときにはひと手間工夫が必要になります。イレギュラーといっても、借入金の返済や給料の支払いは基本的に毎月あるものなので、あながち無視できません。このひと手間を考えたりしていると、逆に連携させない方が効率的という考え方もできてしまいます。
便利ではあるが、必須ではない
クラウド会計ソフトの銀行連携は、非常に便利な機能ですし、私も利用しています。ただ、一方で銀行連携ができるからといって全てが自動で経理できるわけではなく、工夫は少し必要になってきます。
その工夫に、どれだけ時間を使うか。
入出金の取引があまり多くないのであれば、無理に自動で完結させようとするより、手動で経理処理をしてしまった方がかえって効率的という考えもあります。
会計ソフトは自動で連携ができることを売りにしていますが、使わなければならないわけではないので、自分で経理をしてみるか、使い方を税理士に相談してみてもいいかと思います。