業績はもちろん黒字が良くて、赤字は避けた方がいいのですが、赤字だから即座に悪いというわけでもありません。
投資が先行していたら赤字にならざるをえない
特に創業間もないベンチャー企業などの場合、売上が立つよりもコストが先にかかります。
投資が先行してしまうので、どうしても売上が立つまでは赤字になります。
赤字だと税金は安くなりますが、それ以外の面ではデメリットもあります。
銀行融資の審査にも影響するでしょうし、出資を受ける際にも悪影響になるかもしれません。
取引先によっては、与信調査の一つとして業績を指標にしていることもあります。
赤字になるのは一般的には良いことではありませんが、赤字であっても、将来の展望があれば大きな問題にはならないこともあります。
「今は赤字でも、将来大きな黒字になる可能性がある」という雰囲気というか心象を周りが持っていれば、必ずしも悲観することではありません。
黒字でも安泰というわけではない
仕事がら、いろんな会社を見てきました。
- 業績は赤字だけど雰囲気の明るい会社
- 業績は赤字だし、資金繰りも危なくて資金ショートしそうな会社
- 業績は黒字だけど、何か雰囲気が悪く、人がどんどん辞めていく会社
法則を見出したわけではないですけど、以下のような場合は、黒字で業績が良いように見えても、雰囲気が良くないというか、先行きが怪しい会社である気がしています。
- キャッシュが不足する
- 固定費がかさんでいる
- 人が辞めていく
利益が出ていても、資金がそれだけ潤沢にあるとは限りません。
最近はサブスク型のビジネスモデルを採用している会社も多いです。
サブスクは長期で見ると解約されない限り売上が立つので良いですが、短期で見ると毎月少しずつしか料金を回収できないので、短期の資金サイクルは悪化しがちです。
契約数は伸びてるのに、資金が足りなくて追加の融資や出資をしないと会社がもたないというケースもあります。
また、高いオフィスや倉庫を借りているとか人件費などの固定費がかかると、売上が少し落ちたときに収支に与える負の影響は大きいです。
逆に、堅実にやっている会社は、必要以上に人を雇ったりしていません。
人件費というのは、その社員に払う給料だけでなく、社会保険料もかかります。
なので、社長が思っている以上に人件費はコストとしては大きなものになります。
人を雇うなら、ある程度売上が立ち、収支がとれるようになってきたタイミングまで待ったほうが良いことが多いです。
（もちろん、必要な採用はすべきですが）
資金面以外でも、社内の雰囲気が悪いと社員がどんどん辞めていきます。
入れ替わりの激しい会社はそれだけで社内の雰囲気を悪くしますし、後任を採用しようとするとまた余計にコストがかかります。
人材エージェントなどに払う採用フィーもありますし、面接などの人的なリソースも割かれます。
業績が黒字になっていたとしても上記のような状況があると、あまり雰囲気が良くないことが多いです。
月次決算・固定費・ファイナンス
今は赤字だったとしても、雰囲気の明るい会社もたくさんあります。
そういう会社はどういうことをしているかというと、
- 月次の業績を見ている
- 固定費を安易に増やさない
- ファイナンスの手当を怠らない
といったことがあげられます。
毎月の業績を追跡するためにも、月次決算は早めに締められるようにすべきです。
経理というのは飛行機のコックピットのようなものです。
パイロットは計器類の数字を見ながら飛行機を操縦し、計器の数字に異常が出ればすぐに対処します。
経理もそれと一緒で、いち早く異常を察知するには、月次で業績をリアルタイムに把握しなければなりません。
赤字であったとしても、先行きが明るい会社はおしなべて月次の業績をチェックしています。
細かい数字まで見る必要はありません。
全体のトレンドとして、異常に増減しているコストはないか、資金の残高がどれぐらいあって、あとどれぐらい資金が持つかをチェックするぐらいがいいでしょう。
資金面では、安易にスタッフを増やしたり好立地な場所にオフィスを借りないことも重要です。
これらは固定費なので、売上がなくてもかかり続けます。
固定費が多いと、赤字を垂れ流すほどに資金も枯渇していきます。
どうしても必要な人材は採用すべきですが、そうでない場合は、経理もマーケも営業も商品開発も、極力社長が自分でやるという覚悟も必要です。
それでもなお、固定費をかけざるを得なかったり突発的なコスト発生に備えて、融資や出資などのファイナンスの手当も常に行っている会社が強いです。
資金繰りが問題ないうちから銀行との関係を作っておく、知り合いのお金持ちにエンジェル投資家になってもらう、補助金をもらえるものはもらう、という姿勢は、業績が悪くなる前からやっておく必要があります。
会社は人の集まりなので、必ずしも数字だけでは良し悪しを判断できないものです。
赤字でもすぐに問題がある、というわけではありませんが、良い会社というのはそれだけ必要な手当を怠らないようにしているものです。
▪️編集後記
昨日は早朝にスプリント走。昼に整体に行き、動画の収録など。
▪️娘日記（0歳）
ベビーカーに乗せて外出すると、声をかけていただくことがあります。
でも、まだ髪が少ないので男の子と勘違いされます。まあ無理もないですね。
