大学を卒業して、社会人になって最初の仕事は、税務調査の立ち会いでした。あのとき何をしていたのか、もはやほとんど覚えていません。今になると貴重な経験でもあると同時に、さすがにいきなりすぎると思うんですよね。
社会人としての最初のスタートは税務調査から始まった
新卒1年目の就職先は会計事務所でした。大手ではなく、個人でやっている社員数名の事務所です。
なので、新卒といっても研修なんかはありません。いきなり本番です。初出勤の朝に会社に行くと、「じゃあ今から税務調査に行くからついてきて」といわれ、よくわからずについていきました。
「税務調査」という言葉も聞いたことがありませんでした。公認会計士試験では税法も試験科目にありますが、税務調査なんてテキストにも試験問題にも出てきたことはありません。何か映画とかドラマでやるような、「マルサ」のようなやつかと思っていました。
実際行ってみると、全然「マルサ」じゃありませんでしたが。
新卒の社会人が最初に覚えるビジネスマナーの一つが名刺交換でしょう。私の初めての名刺交換は税務署の職員でした。
ビジネスマナーの本で書いてあったように、名刺を相手の方に向け、ちょっと腰を曲げ、下から名刺を差し出すのですが、相手の税務署の人は名刺をくれません。身分証のようなものを見せられただけで、初めての名刺交換で交換できないという結果に終わりました(税務署の職員は名刺を持っていないことがあります。持っている人もいるらしいのですが、私はもらったことがありません)。
新卒が税務調査対応でやること。走る、コピーを取る、とりあえず座っとく
税務調査に立ち会ったと言っても当然当時の私は何もわからないので、実際の質疑応答はお客様と、私の上司である税理士が対応します。私は横に座ってるだけです(パソコンで自分のメールの初期設定とかをしていました。何せ入社初日なので)。
税務署の人から資料依頼があると、コピー取りに走ります。新卒の仕事といえば、コピー取りですね。
元帳とかをお客様の会社の複合機でコピーするのですが、新卒1日目なので複合機もまともに使えません。原稿がメチャクチャずれてたり、真っ黒な部分があったり、散々です。
資料依頼があったり質問がないときは、ずっと調査官と同じ会議室の中で座ってるだけです。
終始穏やかに税務調査は終わった記憶があります。もっと怖いものだと思っていましたが、調査官の人も優しそうな感じで、会社が変な脱税まがいのことをしていない限り、過度に恐れるものではないです。
「いきなり本番」は良い訓練だけど、練習はした方がいい
他の仕事もそうかもしれませんが、ろくに研修もなく「いきなり本番」になることもけっこうあるのではないかと思います。
公認会計士は監査の仕事がメインですが、初めて監査をしたときも、特に事前の説明もなくお客様の会社に訪問し、そこで上司に自分の担当を割り振られ、「あとはよろしく」という感じでした。
とりあえず去年の資料を見て何をやればいいのかを確認し、何もわかってないのにお客様の経理の人に質問して監査資料を作る、という感じです。
確かに研修とか練習をどれだけやっても、本番に勝る経験はありません。実際に前線に立ってみて生の情報を見て、失敗して恥をかき、そういう経験をとおして成長していくものです。
でも、いきなり税務調査はキツすぎんか、とも思います。
本番に勝る練習はないでしょうけど、練習なしの本番は迷惑にもなりかねません。
「とりあえずやってみる」という姿勢は大事ですし、そうありたいものですが、最低限のインプットもマナーだと思います。
そのための日々の読書、セミナーは欠かさないようにしたいものです。
▪️編集後記
昨日は奈良市の富雄駅まで妻と散歩。富雄はちょっとした奈良のラーメン激戦区なのですが、どこも昼営業はしておらず、結局「王将」でランチ。
子どものときに習っていたスイミングスクールがまだ残ってたのが懐かしかったです。
その後、自宅で自分の事務所の月次経理など。