自分の人生を振り返るときに、思い出とか「名シーン」のようなものをたくさん語れるかどうか。文章に書いたときに、1冊の長編小説になるぐらいのボリュームにしたいと思っています。
人生、2行で終わった
ちょっと前にネットの掲示板で話題になった書き込みがあります。
18歳で引きこもりになり、そこから一度も仕事をしたことなく親のもとで生活していたら60歳になってしまった。
自分の人生を振り返ろうとしても何の思い出もなく、文章でまとめると2行ぐらいで終わってしまう、というような内容でした。
引きこもりになったり親のもとを離れずに生活するのは仕方ない事情もあると思いますが、「人生を語ったら2行で終わる」というのは衝撃的だなと。
「成功か失敗どちらか選べ」と言われたら成功を目指したいですし、失敗はできることなら避けたいものです。
でも、仮に失敗してその時はつらい思いをしても、後になってみると「あれも良い経験だった」と思えることもあります。
やり方次第では、「すべらない話」にできるかもしれません。
一番怖いのは、「語れるような成功も失敗もない」ことではないかと思います。
終わりよければ、すべてよし
最近の脳科学では、脳は超高機能のプログラム・マシンと考えられているようです。
プログラムの「if-then」の構文、「Aという条件が満たされれば、Bという結果になる」というシミュレーションを無数に行っているのが脳だと考えられています。
「あのときこうしていれば(A)、こんなことにならなかったのに(B)」というのが「後悔」というシミュレーション。
「あのときはこれで失敗したから(A)、次はこうしてみよう(B)」というのが「学習」というシミュレーション。
「今これをやっていれば(A)、将来はこうなるだろう(B)」というのが「希望」というシミュレーション。
こういった過去・現在・未来のシミュレーションを行う主体が「わたし」であり「自意識」と言われるものです。
脳は「わたし」を主人公とした物語を構築して無数のシミュレーションを行い続ける器官であると脳科学的には考えられています。
多くの映画とか小説とかRPGがハッピーエンドで終わるように、人生という物語もハッピーエンドを迎えれば、そのシミュレーションはうまくいったということで、脳科学的には「幸福」といえます。
つまり、「人生いろいろあったけど、けっこう良い人生だった」、「終わりよければ、すべてよし」と思えることが、幸福な人生なのかもしれません。
幸せになるために必要なことは、人生を振り返ったときに、1冊の長編小説が書けるぐらいの経験を積み重ねていくことではないかと思います。
「経験」といっても、社長になるとか世界一周をするとか金メダルを獲るとかそんな大きなものだけである必要もないでしょう。
旅行に行ったときに食べたご飯が美味しかったとか、独立してから自分の好きな仕事ができるようになったとか、やりたかったゲームをクリアできたとか、大小いろんな経験があります。
お金・家族・友人・地位・スキル・健康とかそういったみんなが欲しいと思うものは、その経験をできるようになるための手段の一つなのかもしれません。多いに越したことはないし、全くないと困りますけど、たくさんあるからといって幸せになれるとは限りませんし。
いま現在つらい状況にある人に「その経験はいつか糧になる」と言われてもピンときませんし、言われても腹が立つだけでしょう。
「苦労は買ってでもしろ」とは言われますが、むしろ買ってでも回避したいと思うものです。
でも、そのつらい状況とか苦労から抜け出したときに、そのときのつらい経験は「逆境からの逆転ストーリー」みたいな良い感じの物語になってくれるのではないかと思います。
「振り返れば人生いろいろあった」と思えるように
失敗するのも苦労するのもできれば避けたいものですけど、長い目で見れば笑い話になることもあります。
だから、好きなこととか、買いたいものとか、やりたい仕事がある場合は、できるうちにやっておきましょう。
もちろん失敗とか後悔することもありますが、その失敗から学習して何か成長につながればOKとしましょう。
私も最初の就活のときに、希望の就職先には行けませんでしたが、事業再生のコンサルティング業務のような、同世代の会計士が経験しないような仕事をすることができました。
コロナに感染して1週間寝込んでしまい、予定していた野球観戦ができなくなったものの、その1ヶ月後にリベンジで観戦した試合で推しチーム(ヤクルト)が優勝するという貴重な経験ができました。
一般企業の経理部長として働いていたもののメンタルを病み、休職していましたが、それをきっかけに奈良にUターンし、地元で独立することができました。
人生を振り返ったときに、2行で収まるような人生ではなく、失敗も成功も含めて数万行ぐらいの文章になる人生を歩みたいものです。
▪️編集後記
昨日は経理支援業務のあと、ふと思い立ってで京セラドームで野球観戦。ヤクルトの奥川くんが3年ぶりの復帰ということで、急遽観戦に行きました。見事に勝ち投手になり、感動して泣きそうになりました。これだからヤクルトファンはやめられん。