もしかしたら、今年で食料品の消費税がゼロになるかもしれません。ただ、いざ実際に食料品だけ消費税をゼロにしようとすると難しい問題も出てきます。「非課税」なのか「免税」なのかというのは、大きな論点の一つでしょう。
「非課税」と「免税」
「消費税をゼロにする」といっても、消費税のルールには「非課税」と「免税」の2種類があります。
どちらも消費者にとっては「消費税ゼロ」に変わりありませんが、性質は異なるものです。
「非課税」は、様々な理由から消費税を課さない方がいいと考えられているものが該当します。
例えば医療費とか、住宅用で借りている家賃などには消費税はかかっていません。
一方、「免税」は消費税の対象ではあるけど、税率が「0%」というものです。
これは輸出の取引が該当します。
では食料品は「非課税」なのか「免税」なのかというと、まだ結論は出ていないように思います。
これから整理していくということなのでしょう。
どういう影響があるのか?
「非課税」にするのか「免税」にするのかで、その食料品を作っている農家には少なからず影響が出てきます。
食料品が「非課税」になると、農家が農産物を売っても消費税はもらえません。
しかし、その食料品を作るための水道光熱費とか、牛や豚を育てるための飼料は食料品ではないので、消費税を払わなければなりません。
売るときは消費税をもらえないのに、経費を払うときは消費税を払わないといけないので、農家の人たちは損をしてしまいます。
一方、「免税」ということにすると、農産物を作るためにかかった経費の消費税分は、税務申告で還付を受けることが出来ます。
なので、「免税」のほうが、農家などの一次産業の人たちにとっては影響は比較的小さいといえるでしょう。
しかしそれでも、消費税の申告方法を簡易課税にしているとこの還付を受けられないので、小規模な農家にとってはやってられないでしょう。
還付を受けるために原則課税にしようとしても、経理が複雑になって手間もかかります。
また、1年に1回の税務申告で還付申告をするまでは資金繰り的に苦しむ可能性もあります。
(課税期間の短縮という手もありますが、それはそれで申告の手間が増えます)
「非課税」でも「免税」でも、考えるべき論点はありますが、やるとしたら「免税」という扱いになるのかもしれませんね。
さすがに非課税にして農家の経営を圧迫させるわけにはいきませんし。
しかし、免税にするとしても、もともと免税の扱いは輸出業などで適用されるものです。
食料品のように国内で販売されるものに対して「免税」の扱いを適用するとなると、今までの消費税の体系を改めて見直す必要があります。
食料品の消費税がゼロになるのは、私たち消費者にとってはうれしいことですが、それを実際にルールとして整備・運用するためには、霞が関の官僚の人たちが一生懸命考える必要があるのでしょう。
ただでさえ長時間労働で有名な官僚の人たちが、今回の消費税の件でも苦労することになるでしょうね。
税金が複雑な理由が詰まってる
税金は複雑でわかりにくい、とよくいわれます。しかし、社会人にとって切っても切り離せない大事なものでもあります。
大事なことなのだから、小中学生の義務教育で税金について勉強させるべきだ、みたいなことを言う人もいます。
ですが、税金がわかりにくいのは義務教育で教わってないからではなく、その時の政治や経済の情勢によって政治的に変わっていくもので、どうしても制度がツギハギになってしまうからです。

義務教育で税金のことを教えても、それで税金がわかるようになる、というものではないと思います。
食料品の消費税の問題にしても、「非課税」にすると農家などへの影響は小さくないでしょうし、「免税」にすると今までの消費税の体系を見直す必要が出てくるでしょう。
自民党の案だと2年間限定で食料品の消費税をゼロにするということですので、2年間だけの時限的な特例処理ということになるのでしょう。
消費税以外にも、税金のルールには特例処理というのはたくさんあります。
相続でも不動産売買でも、特例がたくさんありますし、AIでも間違うことがあるので、結局専門の税理士が必要になっている現状があります。
もちろん消費税がゼロになったらありがたいことなので、やってほしいとは思いますが、税理士としては、いろいろ考えさせられる論点でもあります。
▪️編集後記
昨日は午前にバイク&ランのブリック。
午後は自宅で税理士業。
▪️娘日記(1歳)
夜中に起きて泣くことなく一晩寝られる日があります。
夜泣きも、少しずつ成長してきている気がします。
