毎月業績を確認することは経営の必須事項ですし、そのためには日々の経理で月次決算を締めることが必要です。しかし、なかなか月次が締まらないこともあります。
業績の管理もスピードアップすべき
「企業を取り巻く環境の変化に柔軟に対応し、迅速に行動する」というような経営訓をよく耳にします。
「先の読めないVUCA時代、生成AIなど絶えざる技術革新に企業も迅速に対応しなければならない」みたいな。
では、実際にどうやって「迅速に対応」するのか。
いろいろ会社によってあるでしょうが、その手段の一つとして、「業績の管理」があると考えます。
経理をタイムリーに行い、毎月の売上・経費・利益・資金の流れをチェックすることが、「柔軟な対応」、「迅速な意思決定」につながります。
数字がわからなかったら、経営者の勘に頼るしかありません。勘が当たればいいですが、再現性はありません。
まずは、月次決算で毎月の業績をチェックすることが重要です。
しかし、現実には月次決算がなかなか締まらないという会社も多いと思います。
その要因は、大きく5つに分類できるかと。
月次決算が締まらない要因5つとその対策
数字が固まらない
売上は経営の中心なので、月次決算でも最も重要なものです。
その売上の集計に時間がかかり、数字が固まらないということはよくあります。
また、経費についても、取引先から請求書の到着が遅くて経費の集計に時間がかかるということがあります。
まず、売上については、月初1日目には確定させるようにしましょう。
月次決算を早期化するために、一番最初に何をやるべきかと聞かれれば、まず「売上の集計を最速で確定させる」ことと答えます。
Excelなどで経理をしていれば、集計することは難しくありません。
あるいは、請求書ソフトを使っているのであれば、会計ソフトと連動させることで売上の集計は自動でしてくれるでしょう。
また、経費の請求書についても、月初1日目までに、遅くても月初3営業日までにもらうように取引先に交渉します。
もし間に合わなければ、支払いを翌月にするぐらいのことを取引先に伝えて、なるべく経費の集計を早期に確定できるようにします。
売上と経費を月初1日目に確定することができれば、月次決算の半分は完了したも同然です。
資料作りに時間がかかる
会社によっては、詳細な経営レポートを作成することもあります。
場合によっては、何十枚にも及ぶ経営資料を作成したりすることがあります。
そういうのは撤廃して、月次決算の資料は必要な情報だけに絞るようにします。
私は、Excelの画面1ページで、月次業績の概要を示すようにしています。
それ以上の情報を載せてもとても見きれないので、資料作りに時間をかけすぎないようにしましょう。
決算は難しいものと思っている
月次決算は、会計の専門知識を持った人じゃないとできない、というものではありません。
最初は慣れや知識のインプットが必要な部分があるかもしれませんが、ある程度慣れてくればルーティン作業なので高度な知識は不要です。
高度な簿記の知識よりも、Excelの集計スキルや、毎日コツコツと記録を残しておく習慣のほうが大事です。
会計事務所のチェックが終わらない
日々の経理を税理士や会計事務所に外注している場合もあると思います。
経理に限ったことではありませんが、外注するとスピードは落ちます。
会計事務所は「正確に税金を計算すること」が第一なので、月次決算早期化などの優先順位は低いです。
もちろん正確に税金を計算することも大事ですけど、経理をそれだけに使うのはもったいない。
会計事務所におんぶに抱っこではなく、自分で経理をすることを考えてみましょう。
自分でやるようになれば、会計事務所が記帳を完了させるまでのリードタイムを考える必要がありません。
もちろん自分でやる手間は発生しますが、自分の会社のお金のことなのだから、人任せにせず、自分でやるべきという考えもあります。結果的に、外注するより自分でやったほうが速いこともあります。
件数が多い
取引件数が多くて、経理に時間がかかる、ということはあるかもしれません。
確かに件数が多ければその分経理の作業に時間がかかるかもしれませんが、ツールをうまく使えば量の問題はカバーできることがあります。
- 発行する請求書が多いのであれば、請求書ソフトを導入してみる
- 現金払いは止めて、クレカやネットバンクでの支払いに統一する
こういったことで取引件数の多さをカバーできることがあります。
対策は一つずつ
もちろん、これらの要因があったとして、一気にこれらを解決させることは簡単ではありません。
上で書いたのはあくまで一般論であって、実際に施策を考えようとすると、その会社独自のいろんな問題があるでしょう。
仕組みの問題だけでなく、人が原因の問題(改善したくても社員にその気がない等)もあり、これは教科書のようには解決できません。
まずは一つでも手をつけてみるといいでしょう。
売上の集計を早めてみるとか、ネットバンクを使ってみるとか、小さいことでもいいです。
どんなことでもそうですが、一気にものごとが解決するということはなくて、ほとんどが地道に、少しずつ、気付かないぐらいの小さな変化の積み重ねで改善は進むものです。
月次決算は時間をかけてでも改善していくべき重要な経営事項であると考えています。
「数字のことはよくわからん」などと言い訳せずに、毎月チェックする仕組みを構築するようにしましょう。
▪️編集後記
昨日は前日に引き続きのどが痛いため、ずっと寝ていました。
(熱やダルさはないのですが、念のため)
▪️娘日記(0歳)
私が体調が良くなかったので、妻と娘で外出してくれて、私は自宅で寝ることができました。
ゆっくり寝られたので、家族に感謝です。