法人税や消費税などの税金は基本的に1年に1回計算するものですが、月次決算の際にも集計しておくことで精度を高めることができます。
利益が出たら、税金もほぼ必ず発生する
会社で利益が出ていれば、ほぼ確実に税金が発生します。
仮に赤字だったとしても、経費のほとんどが人件費などの場合は、消費税は納付することになる可能性があります。
また、住民税の均等割というものは、利益が出ていなくても納付する必要があります。
場合によっては、黒字でも過去の赤字(繰越欠損金)が累積している場合は、利益と相殺されて税金がかからないこともあります。
しかし一般的には、利益が出ていればそれに伴って法人税や消費税も発生します。
税金の計算は基本的に1年に1回しか行いません。
場合によっては決算の時になって初めて税金がいくらぐらいになるのかがわかるパターンもあるでしょう。
3月決算であれば、5月下旬ぐらいになって法人税や消費税の金額が確定するということが多いです。
もちろん正確な数字は5月ごろに決算が終わってからでないと出すことはできませんが、概算であれば年度の途中でも計算することはできます。
あらかじめ税金の見込み額を出しておかないと、正確に業績を把握することはできません。
最終的には、税金を払ってどれだけの利益が残ったかが業績においては重要です。
銀行融資においても、税引き後の利益は重要な指標の一つです。
資金繰りの点で、5月になっていきなり税金が分かり、多額の税金を払わなければならないとなってしまうと、思った以上に大きなキャッシュアウトが発生し、資金繰りにも悪影響を与えます。
事前に見通しを立てておくことが、資金繰り的にも良いでしょう。
月次で税金の概算を算出する方法
具体的な概算の計算方法ですが、もっともシンプルなのは、
・法人税:単月の経常利益*税率30%
・消費税:(単月の経常利益+人件費+税金)*10%
・住民税:年間の均等割÷12
これらが、主な税金の概算額です。
月次を締めたら、月次の収支計算から上記で求めた概算の法人税・消費税・住民税均等割を差し引いて、概算の税引き後利益を出します。
月次の業績を管理するときは、この概算の税引き後の損益計算書で業績を管理するほうがベターです。
最終的に年度の決算が終わったときにどれくらいの利益で着地するのかといった見通しが立てやすくなります。
もし税引き後利益が出すぎていることがあれば、今期に必要な投資を前倒しで経費として実施することもできますし、逆に、業績が芳しくないという場合には投資を抑えるといった判断もできます。
税金の見込みが入っていないと、「今期は利益が多めに出ている」と思って過度に投資をしてしまい、結果的に税金を入れた後の年度の決算で赤字ということもありえます。
税金も資金繰りへの影響は大きい
資金繰りで大きな要素となるのは、人件費や家賃、設備投資に係る減価償却費といった固定費です。
ですが、それだけでなく、税金も資金繰りの大きな要因の一つです。
赤字であったとしても、税金のことは考えておく必要はあります。
赤字であれば確かに法人税はゼロになる可能性はあるでしょう。しかし、消費税は払わなければならない可能性もあります。また、住民税の均等割は利益が出ていなくても払う必要があります。
節税も広く言えば資金繰りの手段の一つです。
月次で税金の概算を計算し、「税金が多くなりそう」ということが早めに分かれば、節税策として取り得る選択肢も広がります。
これが年度末近くになって税金を計算してみて税金が多いと思っても、節税できることは限られます。
脱税に近い節税に手を染めてしまうリスクもあります。
かといって何の対策もせず、「こんなに税金がかかるんだったら、何か投資になるものを使えばよかった」ということにもなりかねません。
それは、将来の売上や投資の機会を失ったことにもなります。
経理はもちろん税金を計算するために行うものですが、それだけではなく業績の管理に使うものです。
そして、その業績管理のための経理は、税金の計算ほどの厳密な正確性は必要ありません。おおよその傾向が分かれば十分です。
そのためには、月次の単月の利益に税率30%をかけ、そこに消費税と住民税を加える。
最低限そこの推計を立てていれば、月次決算としての税金計算は十分です。
もし今月次決算をしていて、税金の概算計算をしていないのであれば、一度検討してみても良いでしょう。
▪️編集後記
昨日は動画の編集、動画教材の作成、税理士業で打ち合わせ。
夜にオンラインセミナーを受講。
▪️娘日記(0歳)
お座りしたり四つん這いで前に進もうとして、頭をドテッと床にぶつけそうになることがあります。
成長するうえで避けては通れないものだとは思うのですが、頭を床に打ちつけないか、対策したいところです。