月次決算で数字を固めることができたら、それを使って業績の管理をします。その際のポイントは、前期と比較、予算と比較、他社との比較の3つです。
前期比較・予実比較・同業他社比較
まず、前年同月との比較があります。
業種にもよるところはありますが、通常は売上やコストは季節によって変動があるものです。
ただ先月と売り上げや利益が増えたか減ったかを見ていくだけだと季節的な影響がわかりません。
今月の売上あるいは利益が、1年前の同じ月と比較して成長しているのか、あるいはしていないのかを確認するために、前年同月での比較をします。
上場会社でも前年同月比(YoY)を決算短信や決算説明資料などのIR資料で公表しています。
単月だと期間が短すぎる場合には3ヶ月ごとに比較することもあります。
今年の4月〜6月の売り上げと前年の4月〜6月の業績の推移を比較することもあります(QoQ)。
次に、予算との比較を確認します。
もし銀行から融資を受けていたり、補助金を受ける際に事業計画書を作っている場合、その事業計画書の数字を予算として使ってもいいでしょう。
もちろん予算比較でも、売上だけの予算の達成状況だけでなく、コストとその結果の利益が予算を達成したかしていないのかを確認します。
予算と実績の比較を毎月することのメリットは、それが次の予算を立てるときにも役立つからです。
毎月予算との乖離状況を見ていれば、予算や決算予測の精度も上がります。
予算や決算予測の精度が上がれば、資金繰りもしやすくなります。
最後に、可能であれば同様他社との比較も行うと良いでしょう。
上場企業であれば決算情報は公表されているので、自社と同じビジネス、同じ業界、同じ水準の売上の上場企業があるのであれば、その情報と自社との業績を確認するといいでしょう。
ただ、上場してなければ他社の情報を見ることは難しいです。
その場合は、ローカルベンチマーク(ロカベン)などのツールでチェックできる「業種基準値」を参考にすることもいいでしょう。
数字そのものを見るだけでなく、推移・比率を見る
月次決算で毎月の数字を固めることで、売上や利益などの数字を見ることができます。
ただ、その数字自体を見て「売上が増えた」とか「経費が増えた」ということだけを見るのではなく、比率や過去の推移とも比較することが重要です。
上記で、前年同月比の数字を見ることが大事と書きましたが、これは、過去からのトレンドを見ることで成長の度合いなどがわかるようになるからです。
あるいは自己資本比率や労働分配率などの指標で、数字と数字の間にある比率を見ることで、効率性や安全性をチェックすることができます。
推移や比率を見れば、異常点を見つけることもできます。
売掛金の残高が異常に多いとか、経費が今月だけ極端に大きいとか、そういった異常に気づくには、過去からの推移を見ることがわかりやすいです。
「儲けよし・資金よし・バランス良し」の三方よし
どんなに売上が伸びていても、利益が出なければ会社は生き残れません。
また、利益が出ていても資金が手元に残っていなかったら資金がショートし、やはり生き残れなくなる可能性があります。
異常な経費の増減がないか、またそれが単純なミスなのか、そうではないのかといったことも月次の時点で判明すれば、すぐに修正やリカバリーができます。
- 儲かっているのか(利益が出ているのか)
- お金は足りているのか
- 異常な増減はないか
これら3つの現象を確認するために、上で書いたような前期比較・予算比較・同業他社比較を行います。
「儲けよし・資金よし・バランスよし」の三方よしです。
業績を確認し、資金の状況を確認し、異常な点がないかをチェックするには、月次決算を早めに締めることが前提条件です。
月次決算はただの経理作業ではなく、融資などの資金繰りにも活用できるものです。
1ヶ月はすぐに過ぎてしまうものですが、少しずつでも月次決算を早めることを検討してみましょう。
▪️編集後記
昨日は昼にランチ会に参加。「ナチュラ」という無農薬野菜を使ったイタリアンのお店でした。
午後は税理士業で融資の準備資料の作成など。
▪️娘日記(0歳)
ハイハイレースの参加賞でもらったアルファベットが書かれたディズニーのポスターがお気に入りのようです。
数あるおもちゃの中から、あえてをそれを自分で取り出してしがんでます。
英語に興味があるんですかね(そこは親に似ませんでした)。